開発者の皆さまへ

弊社の非接触バイタルセンサーは24GHzのマイクロ波を使用するドップラーセンサーを搭載し、そのドップラー効果による反射波の周波数の高低の変移により、体表に現れる体動(脈・呼吸による凹凸)を非接触でセンシングします。

この場合呼吸はみぞおちの凹凸と、脈は体表の静脈の血管の凹凸の動きが混ざったものを感知しています(この混ざったデータを体動と言っています)。
次に体動に含まれる脈・呼吸の成分をセンサー内部で演算し分離します。

センサー出力

体動から脈・呼吸成分を分離してから出来ることは3つあります。

  1. 脈・呼吸の参考値(1分間あたりの波形の波数)を出力
  2. 体動から脈・呼吸の活動量を分離し、現在値として出力(32768/min~65536/maxの間で振れます)。これは一種の電圧値としてご理解ください。
  3. 上記、脈・呼吸の現在値に閾値を設定し、有る無しの判定をし、フラグの「1」か「0」として出力。

上記1~3の出力はセンサー内で生成され、NDA後に開示させて頂く通信仕様書にある要求コマンド(簡単なテキストデータ)を御社システムに組込んで頂き、センサーにお送り頂けることにより出力(約50byte程度)します。

搭載するドップラーセンサーSDOP24G-100(日本製)は購入品ですが、IとQの2出力仕様となります。 IとQと言う2つの出力ですが、その違いは体動の波形の位相が90°ずれたところの2か所の波形データです。理由は人間の両目と同じで、ドップラーセンサーによる対象から反射波のセンシング精度をあげる為です(IとQの波形出力の良いとこ取りをします)。

センサーをご購入頂くと添付される波形表示・パラメータ設定用アプリVR-BBで表される「現在値」で説明しますと、SDOP24G-100のIとQの信号(体動)は16進のデジタル出力(FFFF)となっていますが、それを10進に変換して0~65536で表されます。

SDOP24G-100のIとQ信号はメイン基板で脈と呼吸にフィルタリングされますが、それぞれの脈・呼吸の波形信号も0~65536の振れで表されます。ただ実際は脈・呼吸の有る無しのフラグ判定の仕組みをセンサー内に組み込んでいますので、0~32768は波形的に上に折り返して合わさった形で32768~65536の間で振れています。

つまり、現在値は体動の運動量の大きさにより実際は32768~65536の間で振れます(一種の電圧値)。

*ご参考*

  1. フィルタリング:ドップラーセンサーSDOP24G-100で感知した体表に現れた体動の動きからセンサー内で脈と呼吸に分離します。
  2. 脈・呼吸の参考値:VR-BBで表される脈・呼吸の波形の1分間の波の数となります。自然界に存在する環境ノイズの影響でウェラブルのセンサーに比べて5~15%高めに出ます。
    理由として脈は1分に60回として周波数は1Hz、呼吸は1分間に15回として周波数は0.25Hzですが、空気中にその近辺の周波数のノイズがあるとセンサーとしては拾ってしまい、それが誤差となります。
  3. 学習値:人がいない状況でセンサーの設置環境のノイズ測定したもの=大体33000~34000位で無人学習値と呼んでいます。設置場所が変わったかGAIN調整をした場合に都度当センサーにより再度「学習」して頂く必要があります。
  4. 現在値:センサーを設置した状態で対象の方の活動量(脈・呼吸・体動を個別に出力)。
    センサーを固定し対象の方に向け(10cm~2.5mの間)、安静状態で脈・呼吸の現在値は50000前後が目安です。
    それに合わせてGAINを調整してください。GAINを変えたら再度学習をお願いします。
    (出荷時のデフォルトの状態でも一応動作はします。)
  5. 「1」、「0」のフラグ判定:学習値と現在値を比較し、現在値が閾値を下り学習値に近づくと「1」―>「0」に変わり、「無い」と言う判定を出力します。
  6. 使用する24GHzのマイクロ波は金属板、セメント、水以外は透過します。人体は70%水の為、体内には入いらず害はありません。

**以上はセンサー内で完結しております**

センシング原理の資料

<環境設置型の電波型センサによる状況認識技術>

電波が人などの物体にあたり反射すると、物体の動きによる揺らぎが生じる。この揺らぎを分析することで状況を認識する技術が、電波型センサにおる状況認識技術である。室内に壁掛け等で設置したアンテナから空間に電波を放射し、空間中の様々な物体で反射した電波を受信すると、そこには複数の物体の動きによる周波数変化(ドップラー効果)や振幅変化が観測できる。これに周波数解析による信号分離や統計的なモデリング手法を用いることで、様々な状況の認識を行う。

呼吸や心拍などのバイタル情報を一種の状況と捉えると、呼吸は0.3Hz前後の周期性をもつ胸腹部の振動現象であり、心拍は1Hz前後の周期性をもつ微細振動現象である。電波に波長の短い10.5GHz帯や24GHz帯を用いると、これらの微細な変動を受信信号の位相変化として捉えやすく、実際に数m程度の遠隔から効率よく捉え得ることを確認している。またドップラー効果はスピードガン等で利用される原理であり、対象の速度を検知可能である。これを応用し、物体の落下や人の転倒などが発生した際に観測できる速度変化のパターンから、それら事象の発生を検知することも可能である。

データ取得フロー

    • <バイタル感知センサー システム構成図>

      バイタル感知センサー システム構成図
    • <バイタル感知センサー データ取得 フロー>

      バイタル感知センサー データ取得 フロー
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